書誌情報
著者・訳者:エンミ・イタランタ 著 末延弘子 訳
版型・ページ数:四六判・並製・400ページ
発行年:2018年02月03日
内容
この町では、人の命に価値は認められない。
生き延びるため、己の技能を磨かなければ、追放あるのみ――。
ある晩、血にまみれた少女が織の家の敷地内で発見された。
舌を切られた少女の手の平に彫られていたのは、織り子のエリアナの名前だった。
少女の素性と入れ墨のことを探るうちに、エリアナは町の背後に見えない組織の力が蠢(うごめ)いていることに気づく。
度重なる洪水が島を襲い、未知の病によって動植物や島民に異変が起こり始め、織り子たちが織り上げた道はゆっくりと沈んでいく。
やがてエリアナは、糸が織られるように絡みあう島の過去と現在に、自分の運命も編みこまれていることを知る。
織り子たちが織り上げた糸の壁――もしくは、島では固く禁じられている夢のなかにいるかのように。
主なメディア紹介
●SFマガジン「overseas」(海外SFレビュー) 冬木糸一氏 2018年6月号
●アーサー・C・クラーク賞、フィリップ・K・ディック賞ノミネート『水の継承者ノリア』(映画化決定)につぐ2作目
●タンペレ市文学賞、鏡の湖賞 受賞
海外書評より
「フィンランドの著名な作家イタランタの2作目は美しく織り上げられたファンタジーだ。
差し迫る陰謀と危険を見事に融合させて熟成し、独自の設定と個性的なキャラクターをフルカラーで表現している。
ファンタジー好きの読者も、初めての読者も、この魅力的なフィクションを存分に楽しむだろう。」 -----パブリッシャーズ・ウィークリー
著
エンミ・イタランタ(Emmi Itäranta)
1976年生まれ。英国・カンタベリー在住のフィンランド人作家。2012年のデビュー作『水の継承者ノリア』(西村書店)は世界的ベストセラーとなり、若手作家に贈られるカレヴィ・ヤンッティ賞およびフィンランド国語教師会賞を受賞した。版権は21ヶ国に売れ、フィリップ・K・ディック賞、アーサー・C・クラーク賞、フィンランドSF賞などにもノミネートされた。2作目となる本作は、タンペレ市文学賞およびフィンランド・トールキン協会による鏡の湖賞を受賞。デビュー作同様、フィンランド語と英語で執筆している。
訳
末延弘子(すえのぶ ひろこ)
1975年生まれ。東海大学北欧文学科卒業、国立タンペレ大学フィンランド文学専攻修士課程修了。フィンランド文学情報センター(FILI)勤務。白百合女子大学非常勤講師。フィンランド文学協会、カレワラ協会会員。『水の継承者ノリア』(西村書店)、レーナ・クルーン、ノポラ姉妹などフィンランド現代文学の訳書多数。著書に絵本『とりのうた』。2007年度フィンランド政府外国人翻訳家賞受賞。