書誌情報
著者・訳者:レーナ・クルーン 著 末延弘子 訳
版型・ページ数:四六判・上製・216ページ
発行年:2018年09月08日
内容
人工の看護人や修道女たちに、患者のように管理されるホテルの奇妙な住人たち。
フィンランディア賞受賞作家の哲学的SF小説、最新作!
ホテル・サピエンスは、残された人間たちの集う庭であり、避難場所である。
医学研究所であり、病院であり、教育機関や博物館でもある。
雲の観察者、常識婦人、ヒッグス氏、死を予言する占い師……
奇妙な住人たちは、姿を見せない看護人やクローンのような修道女によって患者のように管理されている。
彼らが不治の病をわずらっているからだ。「人間性」という名の病を。
壊滅した世界の混沌と秩序のもとで、住人たちは教育される。
彼らはホログラムによって再生された(しかし不完全な)かつての哲学者たちの講義を受けなければならない。
彼らの語る過去、現在、そして未来。これは私たちの物語である。
現代フィンランド文学を代表するクルーンの哲学的SF小説、最新作。
主なメディア紹介
●SFマガジン「overseas」(海外SFレビュー)冬木糸一氏 2018年12月号
●出版ニュース「Book Review」 書評 2018年10月下旬号
著
レーナ・クルーン(Leena Krohn)
1947年生まれ。フィンランドの作家。小説、児童書、絵本などを手がけ、環境問題や世界情勢といった社会問題に関する意見も精力的に発信している。フィンランド最大の文学賞であるフィンランディア賞や芸術家に贈られる最高位勲章など数多くの賞を受賞。代表作『タイナロン』はアメリカで世界幻想文学大賞候補作に、『蜜蜂の館』は北欧閣僚評議会文学賞候補作に選ばれている。2015年にアメリカのCheeky Frawg社より『Collected fiction(レーナ・クルーン小説選集)』(未邦訳)が刊行された。
訳
末延弘子(すえのぶ ひろこ)
1975年生まれ。東海大学北欧文学科卒業、国立タンペレ大学フィンランド文学専攻修士課程修了。フィンランド文学情報センター(FILI)勤務。白百合女子大学非常勤講師。フィンランド文学協会、カレワラ協会会員。イタランタ『水の継承者ノリア』、『織られた町の罠』(ともに西村書店)、クルーン、ノポラ姉妹、パルヴェラなどフィンランド現代文学の訳書多数。著書に絵本『とりのうた』。2007年度フィンランド政府外国人翻訳家賞受賞。