書誌情報
著者・訳者:ロート・レープ 著 新朗 恵 訳
版型・ページ数:四六判・並製・336ページ
発行年:2017年05月25日
内容
不治の病の父親とその家族が向き合う最期の優しい日々――
ドイツの語り部ラフィク・シャミのパートナーでもあり、画家・文筆家として活躍するロート・レープ初の邦訳小説。
死ぬこと、生きること、わかりあうこと、愛すること――
人生で大切なことのすべてがここにある。
それはある日、突然はじまった。癌だった。――腎細胞癌。
大家族を夢見たヒーロー(ヘルヴィッヒ)・ヴィーラント。
家族は増え、会社も経営し、人生は順調かに思えた。
ところが、自らの病をきっかけに、家族のほころびがつぎつぎとあらわになりはじめる。
5人の子供と孫たちが抱える悩みや問題の数々。
長女の家庭内不和、次女との軋轢、会社経営をめぐる長男とのすれちがい、次男の会社の経営不振、非嫡出子を産んだ孫娘。
そして、最愛の妻とは、死について向かい合えず・・・。
家族とは何なのか、死を宣告されたときに、人は残りの時間をどうすごすのか、あなたがヒーロー・ヴィーラントだったら?
あるいは、あなたが余命を宣告された患者の家族だったら・・・?
家族といえども個人。欠点もあれば、ぶつかりあうこともある。
不治の病のヒーローは、病と、そして崩壊しそうな家族とどう向き合うのか。家族たちの選択は?
それぞれの視点から語られる、心に響く「ある家族の物語」。
ヘルマンヘッセ賞はじめ、数々の賞を受賞したドイツを代表する作家ラフィク・シャミの妻にして、装丁を手がける画家でもあるロート・レープの家族小説。
読書推進運動協議会 リーフレット「2018若い人に贈る読書のすすめ 〜成人・卒業ー新たな一歩を踏み出したフレッシュなあなたに〜」掲載
著
ロート・レープ(Root Leeb)
1955年、ドイツ・ヴュルツブルク生まれ。ミュンヘン大学でドイツ文学、哲学、社会教育学を専攻。外国人のための語学教師や、路面電車(トラム)の運転手を経て、デザイナー、イラストレーターとして独立。夫で作家のラフィク・シャミの著作の装画を手掛けるなど、夫婦の共同作品も多数。
作家としては、“Tramfrau”(1994)、”Mittwoch Frauensauna”(2001)を発表しており、本書は3冊目の小説で初の邦訳。最新作は“Don Quijotes Schwester”(2015)。
訳者
新朗恵(あろう めぐみ)
1971年、東京都生まれ。詩人・翻訳者。シュタイナー教育に興味をもち渡独。その後、スイス・ドルナッハの言語造形・舞台芸術アカデミーにて言語造形(朗読・演劇)を学んだのち、ハンガリー・ブダペストの私立教育大学にて講師を務める。帰国後、早稲田大学で比較文学について学ぶ。現在は、言語造形を紹介するため「ことば塾WORTE(ヴォルテ)」を設立・主催するかたわら、詩人・ドイツ文学翻訳者として活動している。「歴程」同人。主な著作『DANCE AGAIN』(土曜美術社出版販売、2016)。